スマートフォン向けサイト最適化勉強会まとめII ~成功事例 パネルディスカッション~

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ちなみに会議室名は「Yakusugi (ヤクスギ)」でした

スマートフォン向けサイト最適化勉強会まとめI ~スマートフォンの現状~」に続いて、スマートフォン向けサイト運営で良い結果を出しているパネラー2名によるパネルディスカッションが開かれました。

パネリスト

ママスタジアム(http://mamastar.jp/ 三橋武敏氏(株式会社インタースペース)
女性限定の育児支援サイト。月間約1億PV。もともと従来の携帯電話向けのモバイルサイトを中心に運営していたが、2011年10月にスマートフォン向けサイトを開設。ユニークユーザーは約25万ぐらいだが、アクティブなユーザーが多いとのこと。

スマートフォン向けサイトを開設した結果、モバイルページビュー(以下PV)が+134%、モバイルの収益+121%、全体のPV+8%と、全ての数値が向上している。

ポケモン徹底攻略(http://yakkun.com/ やっくん氏
2002年12月から運営開始。月間約5000万PV。2011年8月にスマートフォン向けサイトを開設。ユニークユーザーは約100万ぐらい。

スマートフォン向けサイトを開設した結果、モバイルPV+159%、全体PV+11%とのこと。

ぐーぐるの湯ののれんと会議室の間のスペース

パネルディスカッション

質問:なぜこのタイミングでスマートフォン向けサイトを作ろうと思ったか。

やっくん氏:夏休み前には作っておきたいと考えていた。理由はお盆帰省、長期休暇の時、モバイルのPVが伸びる傾向があるので。

三橋氏:ママのスマホ所持率は学生・会社員と比べると少なかったが、今年の春ぐらいから急激に増加していた。ユーザー増のため早急にスマートフォンに最適化する必要があると感じた。

質問:スマートフォン対応後のユーザーからの反応はどうなったか。

三橋氏:スマートフォン向けサイト作る前はスマートフォンで見るとPCサイトが表示されるような仕様だった。そもそもモバイルに比べてPCサイトは1/30程度のPVだったので対応は後回しになっていたが、ユーザーの要望が多くスマートフォンに最適化。結果として1ユーザーあたりのPVが向上した。

やっくん氏:使いやすくなったというツイートもあった。PC向けの選択もできるようにしてあるので、ユーザーの好きな方のサイトを表示できる。ユーザーに選択権を残しておくことが重要だと思う。

質問:ユーザビリティや広告収益など、スマートフォン向けサイトを作る際に意識したこと。広告収益とユーザビリティは相反しないか。

三橋氏:スマートフォンの表示は縦にスクロールするので、選択の余地は無い。記事最後にレクタングルの広告を配置。記事を読んだ後に大きい広告を配置しているので結果的に収益が高い。

やっくん氏:一番上にあるとロゴと勘違いしてクリックされないので、メニュー等の合間にビックバナーを配置している。ユーザーの邪魔にならないところに広告を配置している。

質問:ナビゲーション、サイト内検索で工夫した点は。

やっくん氏:ビジュアルデザインを統一した。

三橋氏:急ぎで導入したのでこれから随時改善していく。携帯とスマートフォンでは使用感が違う。携帯はテキスト中心、軽い構成で、スマートフォンはリッチなコンテンツを作っていく。

質問:オーバーレイ広告の検討は?

三橋氏:オーバーレイも併用している。広告だけで収益を上げているので、そのサイトからどれだけ収益を上げられるかテストをしている。ユーザビリティを著しく落とすものは使えないが、いろいろと検証している。

やっくん氏:今はやっていない。ユーザビリティが第一。ファンサイトなので広告広告したくない。

質問:スマートフォン向けサイトを作成してからのAdSenseの広告収益の変化。

三橋氏:携帯に比べスマートフォンのRPMが激増。比率としては、1億PVが従来の携帯電話、2000万PVがスマートフォンだが、AdSense収益はガラケ1:スマホ9ぐらい。サイト運営の方向性が変わるぐらいのインパクトがあった。

やっくん氏:PC版からスマートフォン版にユーザーが流れているため、PCのPVは減ったが、収益はPC、スマートフォン同等の収益になっている。

質問:スマートフォン向けサイト作成後に、運営に関して苦労しているところや改善していきたいところ。

やっくん氏:PC版のソースをCSSでスマートフォン用に変えているだけ。特にテーブルを使っている場合、コンテンツがうまく表示できないので、今後の課題としている。Android、iPhone向けになったことで画像の解像度が荒くなる。

三橋氏:携帯ユーザーがスマートフォンに切り替えても迷わずに使えるようにしていきたい。

質問:iPhoneとAndroidではどちらがアクセス数や収益が高いか。

やっくん氏:今はAndroid 1.5:iPhone 1の比率。両端末持っているが、基本的にどっちで見てもOK。クリック率の差異は特に感じない。

三橋氏:Androidユーザーが圧倒的に多い。iPhone 20%:Android 80%。ママでiPhoneユーザーが少なかったと思われる(地方ユーザーが多いので電波の問題と思われる)。キャリアはドコモ75%、au20%ぐらい。クリック率の差異は特に感じない。

質問:今後のタブレット対応は?

三橋氏:iPadユーザーは1%ぐらいなので、すぐに注力することはないが、将来的に教育絡みの広告を載せたいので5%ぐらいの比率になってきたら対応したい。

やっくん氏:もともとPC版のサイトの幅が狭いのでそのまま見れる。ただiPad向けにフラッシュを JavaScript に変えている。

質問:アプリの取り組みは?

やっくん氏:ゲームも作っているので、これからアプリを作った際にはAdMobを導入したい。

三橋氏:常に話題には上るが収益化と労力のトレードオフ。今のところはWeb中心。

質問:今後、AdSenseに期待することは。

やっくん氏:スマートフォン用の広告種類を増やしてほしい。ほとんど携帯電話向けゲームサイトの広告が表示されるので、在庫を増やしてほしい。

三橋氏:CPCを維持してほしい。ママサイトなので地域系のコンテンツを増やしていきたい(ローカル広告を増やして欲しい)。

質問:PVとユーザー数どっちが重要視しているか。

三橋氏:将来的にはユーザー数だと思うが、短期的に収益を上げたいので今はPVを上げている。なぜかというとスマートフォンからの収益性が非常に高い。

Google担当者:Googleとしてはユニークユーザーの向上を重要視している。

質問:フィルタリングについて。

三橋氏:広告内容についてのクレームがある場合、フィルタかける。(例.サイトイメージに合わない広告が表示された場合等)

Google担当者:デリケートなカテゴリ機能を活用して欲しい。

パネルディスカッション以外で参考になったコメント

話の中で、「ユーザビリティを上げるとサイトの回遊率が上がるので、結果的に収益は増えた。」というコメントがありました。Googleとしてもユーザビリティを向上させるのは、結果的に収益が向上する傾向があるので推奨しています。

AdSense収益というのは、広告主(AdWords経由)が広告を出稿することによって発生します。誤クリックの誘導等で、広告のクリック率が高くてもコンバージョンがあまりにも悪いとそのサイトへの出稿を取りやめる場合もあります。ユーザビリティを下げるとユーザーの満足度も下がるためリピーターも減り、結果として収益性は下がっていく傾向がありますので、その点を考慮してサイトのレイアウトを考えてくださいね。




【追記】AdSense 日本語版公式ブログにも掲載されました。
勉強会レポート:スマートフォン向けサイトに関するよくある質問



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